紫蘭
Blettilla striata
庭に植えられる地生のラン科植物
紫紅色の花色より、和名がつけられた
地下に偽球茎があり、古い偽球茎と連なる
茎は高さ30~70㎝、3~5枚の葉を互生する
葉は長さ20~30㎝、幅2~5㎝ぐらいで
縦じわが目立つ
5~6月、茎の先に紫紅色の花を数個まばらにつける
花はやや大きく、径約5㎝、側花弁は平開する
唇弁は内側に巻き、筒状、蕊柱(ずいちゅう)を取り巻き、縦ひだがある
距はない
花粉塊は粉質で8個
関東以西の西日本、朝鮮、中国、台湾に分布する
低山帯のやや湿った草地や林縁を好むが
野生品はまれにしか見られない
鑑賞のため栽培されるが、偽球茎は白及(びゃくきゅう)と呼ばれ
多量の粘液を含んでいるので
漢方薬、民間薬として、止血、痛止め、慢性胃炎に用いられる
東アジア特産で9種ほど知られている
シラン属Blettillaは粉質の花粉塊をもつことで
熱帯アメリカに分布する近縁のBletia属と区別される
<平凡社『世界大百科事典』より>